ここ数年でどんどん人気が出てきたグラスフェッドビーフ(牧草肥育牛)をご存じですか?
グラスフェッドビーフとは牧草を食べて育った牛のことで
2・3年前からスーパーでもグラスフェッドビーフや牧草肥育牛と表記され販売されるようになってきました。
でも、グラスフェッドビーフの事を何も知らずに買うと
とても硬いお肉を買ってしまうかもしれません。
グラスフェッドビーフは1番安価な肉
実はグラスフェッドビーフとは、特別美味しい牛肉というわけじゃなく、市場に流通する中では1番安い牛肉になります。
本来、穀物を与えて育てられた牛に、普通の牛肉のグラスフェッドビーフ(牧草牛)と差別化するために
【穀物肥育牛】と名付けて読んでいたのを、数年前から牧草肥育牛と名付けて販売されるようにりました。
うたい文句が販売にとって必要なのは十分理解できますが
正直、わたしの身近な肉屋業界では「?」マークでした。
じゃあ、グラスフェッドビーフって美味しくないの?って気になるかと思います。
伝わりやすくするためにランクとしてますが、実際は牛の種類や状態のことです
グラスフェッドビーフのランク
※当店の仕入れ業者様から、現地でのお話ということで確認しました。完全な情報が入ってきていない可能性もあるとのことなので、間違いなどがあればコメントください。
それでは、グラスフェッドビーフのランクです。
上から良い順番に並んでいます。
1・PS(プライムステア)
メス牛orオス牛の去勢
2・PR(プライム)
経産牛(出産したメス牛)
3・YB(ヤングブル)
直訳すると若いオス牛だが乳牛
4・A(エージド)
老廃牛
ランクによってお肉の解説をする前に
牧草牛・穀物牛・和牛・全ての牛肉に言えることなんですが、固い部位は固い!
ミンチや煮込みにしかできない部位の話は一旦置いておきます。
ヒレ・リブ・サーロインの3種類で1.5cmのステーキの厚みの場合で解説します。
グラスフェッドビーフはステーキで食べられる?
まず、始めに伝えておきたいのは、グラスフェッドビーフ(牧草肥育牛)という時点で
グレインフェッドビーフ(穀物牛)の方が美味しくて、穀物牛との比較ではないという事だけは御理解ください。
PSランクの場合
1のPSに関しては、ヒレ・リブ・サーロイン全て柔らかく美味しくいただけます。
特にヒレは十分すぎるほど柔らかいです。リブとサーロインも1.5cmなら問題ありません。それ以上は固さを感じる人もいます。
PRランクの場合
2のPRは当店はリブしか扱ったことがありませんし、ヒレ・サーロインはあんまり沖縄で流通してないのですが、ヒレは多分柔らかく美味しく食べれると思います。
後で話しますが、ヒレは1番下のランクでも柔らかい場合があるからです。
リブロースは一工夫すれば食べれます。
一工夫とはジャガーといって剣山のような器具でお肉をたたいたり、塩麹などで漬けたりすること
サーロインは上記2種類から考えても、リブロースと同じように一工夫したら食べれるかなと思います。
サーロインは和牛ならリブロースより値段が高いですが、輸入の場合はリブロースの方が値段が高く美味しいと言われてますし、わたしもそう思います。
YBランクの場合
3のYBもリブロースしか流通してないのですが、肉質はやわらかいです。ヒレ・サーロインも同様に柔らかいと思います。
ただ、味が凄く淡泊です。個人的には塩コショウのみで食べると物足りなくて、ソースなどで味付けして食べます。
Aランクの場合
4のAに関していうと、ヒレだけはどうにかステーキで食べれるんですが
これも海外のメーカーさんによって大きくかわります。
中には、固くてゴムみたいなヒレもあるので、肉屋さんでもメーカー指定・工場指定して仕入れることが多いです。
いいメーカーさんのエージドランクのヒレなら1.5cmのステーキでも全然問題なく食べれます
あまり良くない牛だと1.5cmでは、硬くてまず食べられません。
リブロースやサーロインはPRランクと同様にジャガーで叩いたりと一工夫すれば食べられます。
Aランクのヒレは当たり外れの差が大きいので、わたしたちも仕入れる際にメーカーなど気にしてます。知らないメーカーだと、価格は普通のAランクのヒレの価格なのに、ミンチにしか出来ないような硬さの場合があります。
ちなみに、グラスフェッドビーフ(牧草肥育牛)は、ランクの表記義務がありません。
1番したのAのランクもグラスフェッドビーフや牧草肥育牛と謳うことが出来ます。
もちろん表記をせずにAランクのお肉を販売するとお店の評判に繋がるので
わざわざやるお店はないかと思いますが、スーパーの精肉担当でも上の方のスタッフじゃないと知らないことです。
最近グラスフェッドビーフや牧草肥育牛が人気になっているので記事にしました。
最近のグラスフェッドビーフ
最近、近所やネットで見かけるグラスフェッドビーフ(牧草肥育牛)と謳っているお店は
1番上のPSランクで更に工場・牧場指定などもしているようなので、美味しくないということはまずないかと思います。
この記事で知ってほしかったのはグラスフェッドビーフ(牧草肥育牛)にもランクがあるということ・ランクの表記義務はないということです。
牛肉って食費の中で高い部類になるので、信用できるお店で購入するのが1番です。
お肉の固い・柔らかいは厚みで感じ方がかわるので、今回は1.5cmのステーキ用で統一して解説しました。